ゲーム開発に興味がある人は、一度はこのように思ったことがあるのではないでしょうか?
ただ、「実際にどうしたらいいのかわからない」「作ってみようと思ったけど挫折した」という人も多いと思います。
ソシャゲは企業が作るイメージがありますが、個人でも作ることは可能です。
よく実装されているランキング機能やログイン機能などは、BaaS を使うことで簡単に実現できます。
もしすべて自分で実装しようと考えていた人は、これを機に BaaS の導入を検討してみてください。
では、さっそく見ていきましょう。
フロントエンドとバックエンド
まずは基本的な話として、フロントエンドとバックエンドについてです(知っている方は読み飛ばしてください)。
フロントエンドは、ユーザーの目に触れる部分のことをいいます。
例えば以下の内容です。
- 画面のレイアウト
- メッセージやボタンなどの部品
- フォントや色
バックエンドはその逆で、ユーザーの目に触れない部分のことをいいます。
例えば、以下の内容です。
- ランキングを決める機能
- ログイン機能
- アイテムの管理機能
いくら見た目がかっこいい UI をつくったとしても、バックエンドがちゃんと実装されていなければ、まともに動かないというわけです。
バックエンド開発はゼロからやると大変
ログイン機能やランキング機能などをつけようと思うと、自分で実装する必要があります。
ざっと洗い出すだけでも以下のようなタスクがあり、とても大変です。
- 機能設計
- 実装、テスト、バグ修正
- データベース管理、サーバー管理
すでにゲーム開発の経験がある方なら、こんな経験もあるのではないでしょうか?
実現したいことはあるのに、時間ばかりかかって完成しないのはつらいですよね。
ここで役に立つのが「BaaS」です。
BaaS とは
BaaS(Backend as a Service) とは、バックエンド開発を楽にしてくれるサービスのことです。
ログイン機能やランキング機能など、自分で実装するのは大変なものも、API を呼び出すだけで実現ができるようになります。
なので、実装とテストも最小限になり、品質の高いゲームを最短で仕上げることができるというわけです。
無料枠も広いので、採用しない理由はないですね。
ただ「BaaS」といっても世の中にはたくさん種類があるので、本記事に7つをまとめました。
採用すべき BaaS 7選
結論からいうと、以下の7つです。
① PlayFab
「PlayFab(プレイファブ)」とは、Microsoft が提供している BaaS です。
ゲーム開発に特化されていて、詳細なログの確認や分析が簡単にできるのも特徴のひとつです。
また、「初回ログイン時に、ボーナスを付与する」といった処理もノーコードで実現できる機能が提供されているのも嬉しい点です。
Game Manager と呼ばれる管理画面も見やすく、直感的に使いやすいと感じました。
マルチプラットフォームに対応しているので、スマホゲームだけでなく、ニンテンドースイッチなど家庭用ゲームなんかにも使うことができます。
公式ドキュメントによると、10万ユーザーまで無料で使用できます。
迷ったらとりあえず PlayFab を選んでおけば、間違いないでしょう。
始め方は「【初心者向け】PlayFabの始め方【環境構築から初回ログインまで】」で解説しています。
② Firebase
「Firebase(ファイアベース)」は、Google が提供している BaaS です。
料金は無料枠があるので、お試しで使うことができます。
詳細は公式ドキュメントの料金ページを参照してください。
ログイン機能やデータベース、プッシュ通知などの機能はありますが、ゲーム開発に特化されているわけではないので、機能は限られます。
必要最低限の機能で問題ない場合は、採用を検討しても良いかもしれません。
③ NCMB
「NCMB(ニフクラ mobile backend)」は、富士通クラウドテクノロジーズが提供している BaaS です。
ホームページやドキュメントにはかなり力を入れていて、始めて使う人でも迷うことなく進められるようになっています。
今回紹介する BaaS の中でも、ダントツでわかりやすいです。
Firebase と同じようにログイン機能やプッシュ通知などは使えますが、ゲーム開発に特化されていません。
無料枠があるので、お試しで使ってみてもいいかもしれません。
④ Game Server Services
「Game Server Services」は、Game Server Services 株式会社が提供している BaaS です。
また、「GS2」とも呼ばれます。
とにかく機能が豊富なのが特徴で、ログイン機能やアイテム管理だけでなく、ミッションやクエスト、経験値などもあります。
また、ドキュメントもソースコードとセットで非常に丁寧に書かれていて、迷うことはなさそうです。
料金も、過去12か月間の売上高の合計が1000万円未満であれば無料で使えます。
たくさんの機能を実装したい人は検討してみてもいいですね。
⑤ Epic Online Services
「Epic Online Services」は、Epic Games が提供している BaaS です。
ゲームエンジンである Unreal Engine を提供している会社ですね。
世界的に有名なゲーム「Fortnite」にも Epic Online Services が使われているため、かなり大規模なゲームにも対応しています。
C# SDK も用意されているので、Unity でも使用できます。
ただ実装サンプルが少ないので、採用するなら実装に時間がかかりそうです。
完全無料で公開されているので、規模が大きくなっても安心なのはありがたいですね。
⑥ Gamebase
「Gamebase」は、NHN JAPAN が運営する NHN Cloud に含まれる BaaS のことです。
機能としては、ランキング、SNS 認証、アプリ内決済などがありますが、アイテム管理はないようなので、自分で実装する必要があります。
Unity SDK の公式ドキュメントがとても丁寧に書かれているため、迷うことなく進められますね。
料金は、月間のアクティブユーザーが 30,000 以下なら無料で使えます。
趣味で使う分には十分な容量ですね。
⑦ Backendless
Backendless は、ツール名と同じ会社名 Backendless が運営している BaaS です。
こちらもゲーム開発に特化されているわけではないですが、ログイン機能やリアルタイムデータベース、プッシュ通知の機能が用意されています。
他の BaaS ではあまり見ない「メール送信」の機能もついていたりします。
C# SDK が用意されているので Unity でも問題なく使用できますが、難点としてはまだ日本語化されていない点です。
管理画面はオシャレでとても使いやすいので、今後に期待できそうなサービスと言えます。
気になる人はZenn の記事でさらに詳しく解説しているので、もしよければご覧ください。
おまけ:Kii Cloud
「Kii Cloud」は、Kii株式会社が運営する BaaS です。
ユーザー管理やデータ管理、プッシュ通知などある程度の機能はそろっていますが、Unity SDK を見ると2018年にサポートが終了していました。
iOS SDK や Android SDK、REST API の開発はされているようなので、Unity 以外では使える可能性はあります。
気になる人は公式ドキュメントをチェックしてみてください。
さらにおまけ:Unity Gaming Services
Unity Gaming Services とは、ゲームの開発からリリース後の運用までに必要な機能を、ひとつのサービスにまとめたものです。
詳しくは「Unity Gaming Services とは?匿名ログインと Cloud Save を試してみた」の記事で解説しているので、こちらを参照してください。
まとめ
Unity でソシャゲをつくるなら、採用すべき BaaS を7つ厳選して紹介しました。
このブログでも紹介している通り、私のオススメは「PlayFab」です。
Microsoft が提供しているため突然のサービス終了になる確率が低いですし、ゲーム開発に特化されています。
管理画面もとても使いやすいので、直感的に操作もしやすかったです。
このブログを読みながら手を動かしていただければ、PlayFab のよさに気づいていただけると思います。
まずは PlayFab を試しに触ってみてください。
最後にもう一度、BaaS をまとめておきます。
PlayFab のことをもっと皆さんに知ってもらいたくて、合計500ページ以上にもなる書籍を5冊に分けて執筆しました。
私の知識をすべて詰め込んでいるので、ゲーム開発をさらに加速させたい方はぜひご覧ください。